塗装の「シーラー」とは?その役割|フィプライマー・ラーとの違いは?2
どうもリートライフの佐藤です。
前回引き続き解説します
シーラー・プライマー・フィラー…その違いは?
一口に「下塗り塗料」といっても、その用途によって様々な種類があります。
では、その違いって何でしょう?ここでは、それぞれの下塗り塗料の用途や機能の違いについて見てみましょう。
シーラーとは?
下塗り塗料のことで、「接着する」「密封する」という意味の英語“seal”がその名の由来。下地と上塗り塗料の密着性を高めるだけでなく、ヒビ割れなどで傷んだ下地に上塗り塗料が吸い込まれるのを防ぎます。
ただしコンクリート壁やモルタル壁、石膏ボード壁など、使用できる外壁に制限があるのが難点です。
プライマーとは?
「最初の」という意味の英語“primary”がその由来で、「最初に外壁に塗る塗料」である下塗り塗料の総称と言われることも。
シーラーと同様に上塗り塗料の密着効果を高め、下地への吸い込みを防ぎます。
コンクリート壁やモルタル壁に使う浸透性タイプや、鉄部に使う防サビタイプなどがあります。ただ、プライマー自体にはサビを取り除く効果はないので、外壁塗装前にしっかりとサビを落としてから使用しなければなりません。
フィラーとは?
「埋めるもの」という意味の英語“filler”が語源の下塗り塗料。サラサラとした液体であるシーラーやプライマーに対し、比較的ドロドロとしています。
厚みが出るため、凹凸や段差がある下地を平滑にするはたらきがあります。
傷みが進んだモルタル外壁の下塗りに最適ですが、下地の傷みが激しい場合は一度シーラーを塗った上から塗装する場合も…。
また、フィラーの中にはシーラーとフィラーの二つの特性を併せ持ったものがあります。それが「微弾性フィラー」。その名の通り、塗膜に弾性を持たせます。
ゴムのようにやわらかい塗膜がヒビ割れを埋め、さらにそのヒビ割れに追従し、ヒビ割れが拡大するのを防ぎます。
ヒビ割れを起こしやすいモルタル外壁でよく使われますが、密着性はシーラーよりも劣ります。
シーラーとプライマーの違い
実は明確に定義付けられているわけではなく、シーラーは「接着プライマー」などと呼ばれることも。
そのため、塗料メーカーによってはシーラーとプライマーを全く同じ意味で使っている場合もあります。
ただし、プライマーは使用される外壁がシーラーとは異なります。塗料が吸い込まれやすいコンクリート壁などに使用されるシーラーに対し、鉄やステンレスといった金属部分における下地塗料として使用されることが多いプライマー。
中には金属下地のサビを抑制するはたらきがある“防錆プライマー(錆止めプライマー)”なるものもあります。
また、プライマー=外壁と上塗り塗料を接着させるもの、シーラー=下地への塗料の吸い込みを防ぐもの、として区別されたりもします。
シーラーとフィラーの違い
シーラーの主な目的は、上塗り塗料と下地の密着性を高めること。そのほかに下地への塗料の吸い込み防止や下地補強といった「上塗り塗料の性能向上」があります。
一方、フィラーは主にヒビ割れの補修や下地の凸凹部分を平滑にする、いわゆる「下地調整材」としてはたらきます。
その他の下塗り塗料
シーラー、プライマー、フィラーのほかに、以下のようなものがあります。
- バインダー:プライマーとよく似た役割を果たす下塗り塗料。塗料の吸い込みが少ない下地用のため、一般的に新築工事で使用される場合が多い。
- サーフェイサー:下塗りと上塗りの間に使用される中塗り塗料のこと。下塗り後の下地の微調整や密着性向上という効果がある。凸凹が激しい下地ではシーラーと一緒に下塗り塗料として用いられることも。下地に重点を置くプライマーに対し、上塗りの仕上がりに重点が置かれる。
- プラサフ:下塗り塗料であるプライマーの密着性と、中塗り塗料であるサーフェイサーの凸凹を整える機能の両方を併せ持つ塗料。ただし、プラスチックやアルミなどにはプライマー効果を発揮できないため、その場合は事前に専用のプライマーを塗布する必要がある。
下塗り塗装の費用について
下塗り塗装としての費用は、700~1,000円/㎡くらいの単価を提示する業者が多いようです。
しかし、使用する下塗り塗料の単価は、そのランクや量などによって大きく変わります。
ランクが高い下塗り塗料には、1㎡あたりの単価が2,000円以上のものや、中には4,000円以上といった高いものも!
- 下塗り塗料はその目的によって使い分けられる
- 吸い込み防止がメインの「シーラー」と、サビ防止がメインの「プライマー」
- 接着剤としての「シーラー」、凸凹下地を滑らかにする「フィラー」
シーラーの種類をくわしく解説!
大きく分けて「水性タイプ」「溶剤(油性)タイプ」に分類できるシーラー。
例えば上塗り塗料が水性なら水性タイプ、上塗り塗料が油性の場合は油性タイプ、といった具合に、基本的に上塗り塗料に合わせて選びます。
シーラーと上塗り塗料の性質が合っていないと、塗装後に塗膜の剥がれなどの不具合が起きやすいのです。
また、その機能性の違いにより「カチオンシーラー」、「ヤニ止めシーラー」などがあります。ここでは様々なシーラーの特徴・特性について見てみましょう。
水性タイプ
「合成樹脂エマルション型シーラー」とも呼ばれ、下地に浸透したあとにシーラー内の水分が蒸発して塗膜をつくります。
水性であるため臭いが少なく、引火する心配も無いため、安全な使用が可能。
ただし、乾燥時間が油性タイプより長く必要です。また、浸透性が低いため、著しく劣化した下地の場合は上塗り塗料の吸い込みを防げないことも…。
そのため、比較的劣化があまり見られない下地に使用されます。
上塗り塗料には、同じ系統の合成樹脂エマルション塗料を使うのが主流。溶剤系の上塗り塗料には不向きです。
油性タイプ
「溶剤シーラー」とも呼ばれ、シーラーに含まれた溶剤が揮発して塗膜を形成するのが油性タイプの特徴です。劣化が激しい下地に向いています。
細かい区分としては、「熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー」と「溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー」があります。水性タイプに比べ臭いがキツイので換気に注意しなければなりませんが、下地への塗料吸い込み防止効果が高く、乾燥時間も水性タイプに比べて非常に短いのもメリットです。
●熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
代表的なシーラーは塩化ビニル樹脂系シーラー。通気性の少ない塗膜のため、下地の吸収性を抑える効果大。ただし、吸い込みの激しい下地の場合は補強する効果が弱い。とはいえ、合成樹脂エマルション型シーラーよりは下地への浸透性や塗料の密着性は高い。
●溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー
基剤と硬化剤で構成された、2液の反応硬化型シーラー。吸い込みが激しい下地にも浸透性を発揮し、下地の補強効果も有り。けい酸カルシウム板などの下地に最適。
カチオンシーラー
「カチオン」とは、「プラス」の性質を持った陽イオンのこと。外壁塗装ではプラスとマイナスが互いに引き合い、くっつくと安定した物質になるという特徴を利用します。
「マイナス」の性質を持つ下地に「プラス」の性質を持つカチオンシーラーを塗ることで、より強固で安定した塗膜を形成します。
浸透性・密着性・経済性に優れ、適用範囲が広いのが特徴。また、ヤニ止めやシミ止め効果のあるものも。
ヤニ止めシーラー
タバコのヤニや雨じみなどを抑え、下地からヤニやアクが出てくるのを抑制してくれます。
様々な下地に使用可能ですが水性タイプの場合、乾燥硬化時間が不足すると再度アクが出てくる可能性があるため要注意!
また、ヤニやシミの程度がひどい場合は1回の塗りだけでは抑えきれない場合があります。
コンクリート強化シーラー
コンクリートやモルタルの外壁表面を固め、強化する塗料です。風化して脆くなった表面を補強し、上に塗る塗料の吸い込みを抑える効果があります。
耐久性に優れるているのが特徴で、ホコリなどの発生も防ぎます。
- シーラーには機能性の異なるものが多数存在する
- 下地の素材や状態、使用する上塗り塗料に合うものを選ぼう